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名古屋地方裁判所 昭和56年(行ウ)18号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

よつて、まず職権をもつて本訴の原告適格の存否につき判断する。

1 一般に、行政処分に対し、抗告訴訟を提起しうる者は、原則として、当該行政処分により直接権利を侵害された者に限定されているが、当該行政処分の直接当事者ではない第三者であつても、当該行政処分の取消変更につき法律上の利益を有する者にも、原告適格を認めるべきである。

2 これを、本件について見るに、原告の原告適格に関する主張は必ずしも明確でないが、これを要約すると次のとおりである。即ち、「原告は、本件配当処分の直接当事者ではないが、清水に対する債権者にして抵当権者である訴外会社に対し清水の連帯保証人の地位にあるところ、本来先順位者として優先配当を受けるべき訴外会社が、違法な本件配当処分により第二順位者とされたため、第一順位者とされている被告の本件徴収金相当額(五四六万五八七〇円)だけ、訴外会社の清水に対する本件不動産による債権回収が不能となり、その結果、原告は連帯保証人として、右回収不能相当額を出捐せざるをえないことになる。これは、原告が、本件配当処分により直接蒙る損害である。そして、訴外会社は、連帯保証人たる原告に対し、このような損害の発生を未然に防止する義務があり、このような場合、原告は、本件配当処分につき、訴外会社に対し、右義務の履行として本件配当処分に対する抗告訴訟等の提起を請求する権利を有するから、原告は、訴外会社のなしうる訴訟上の権利を代位行使する権能を有する。

仮りに、訴外会社に右のような義務が存しないとしても、原告は、訴外会社に対し、右回収不能相当額につき損害賠償債権を有し、債権者代位権の行使ができるから、いずれにしても、原告は訴外会社に代つて本訴を提起できる。」というにある。

そして、抵当権者である訴外会社が清水に対し一九五〇万円の債権を有することは当事者間に争いがなく、<証拠>によれば、原告は、清水の訴外会社に対する右債務につき訴外会社と連帯保証契約を締結していることが認められ、右契約は、清水の委託を受けてなされたものであることは、弁論の全趣旨により明らかである。

3 そこで考えるに、仮りに本件配当処分に原告主張のような違法事由が存したとすれば、訴外会社は本件徴収金相当額につき、清水に対する本件不動産による債権回収ができなくなることは原告主張のとおりであるが、訴外会社の清水に対する残債権は、いぜんとして存続しているのであり、右残債権につき訴外会社は主たる債務者清水およびその連帯保証人である原告に対し、各別に、または、同時もしくは順次にその履行を請求できるのであり、一方原告は、自己の出掲金全額につき清水に求償権を行使できるのである。

してみれば、連帯保証人である原告が本件配当処分により直接法律上の不利益を蒙ると認めることはできないし、原告が訴外会社に対し、本件配当処分是正のための法的手段をとるべきことを請求する権利など発生する道理は毛頭ないことは多言を要しない。

また行訴法七条は、「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による」と規定しているが、行訴法九条所定の原告適格の制度と対比し勘按すれば、私法上の請求権に基づき抗告訴訟の直接当事者の権利を代位行使する、いわゆる任意的訴訟担当は、同法七条の適用範囲外と解すべきである。のみならず、訴外会社が前記のような法的手段をとらないことに帰因して原告がその主張するような損害賠償請求権を訴外会社に対して取得するいわれの存しないことも多言を要しないところであるから、原告は、代位権行使の基本となる債権も有しないことは明らかである。

してみると、いずれにしても、原告は本件抗告訴訟の原告適格を有しないものというべきである。

(松本武 澤田経夫 加登屋健治)

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